江戸時代に書かれた貝原益軒の『養生訓』を読んで、日頃の養生に活かすシリーズ。
今回は、巻第一総論上、四。
いろんな健康法、美容法がテレビなどで取り上げられていますが、大抵のものは「これを食べましょう」「こういう運動をしましょう」「これを使うだけ!」みたいなものですね。
肝心なことが抜けています。
それは
「これをやめましょう!」
ということ。
健康や美容をそこなう原因を取り除かずにいいものを取り入れても、効果は薄いのです。
原因を取り除くだけで悩みは解消してしまう場合だってあるのです。
それが「内欲」と「外邪」。
東洋医学では「内因」「不内外因」「外因」という言い方をし、これが病気の原因となります。
内因…怒り、喜び過ぎ、思い憂い過ぎ、悲しみ、恐れ、驚き
不内外因…飲食のし過ぎ、摂食障害、食中毒、薬害、働き過ぎ、房事過度、外傷、産前産後
外因…風邪、暑邪、燥邪、火邪、寒邪、湿邪
内因は内欲に入りますが、不内外因が少し違うようです。
内因+飲食の欲、好色の欲、眠りの欲、喋りまくりたい欲が、内欲になるようです。
眠りの欲は、寝てばかりいると気が停滞しますし、睡眠不足は体を壊します。
喋りまくりたい欲とは何でしょう…?内因の喜にあたるのかもしれません。
外因はそのまま外邪です。
内欲をこらえると、外邪が入ってこない丈夫な体になると『五』のところで述べています。
食べ過ぎたり、はしゃぎ過ぎたり、イライラせず、早寝早起きをして、穏やかに過ごすよう心掛けていれば、健康に長生きができますよ、ということなのです。
病気にもなっていないのに自分の健康を気にし過ぎるのは、思い憂い過ぎ、になりますね。
流行りの健康法に飛びつく前に、
まずわが身をそこなふ物を去るべし。
身をそこなふ物は、内欲と外邪なり。
食い過ぎている人が、健康によいとされる食べ物を取り入れてもあまり意味はない。
参考文献:
『図解 養生訓』斎藤 孝 著
『養生訓 (中公文庫) 』貝原 益軒 著 松田 道雄 訳