治療院探しの参考にしやすいように、具体例を挙げてご紹介しております。
子どもを元気に、ママを笑顔にする鍼灸師おがわです。
生理痛にはさまざまなパターンがあることを、ご紹介しました⇒『生理痛』
では、一つ一つ詳しく見ていこうと思います。
生理中に冷えて痛くなり、経血に塊が混ざる
20歳女性(初見12月)
主訴:生理が来るたびに冷えて痛み、温めると多少治る。
下痢もするので、生理痛で痛いのか、下痢で腹痛なのかよくわからなくなるとのことである。
親に「鍼へ行っておいで」と言われ、女性鍼灸師で学生料金のある当院に来院した。
細身で、青白い顔をしている。
寒いからなのか、元気がないせいなのか、背中を丸めた姿勢でいる。
足の先がしもやけになっていた。
脈は弱く沈んでいて、わかりにくい。
みぞおちの辺りがピーンと緊張したように張っているが、押してみると力がない。
大学進学で、本州から北海道へ引っ越して来てから痛むようになった。
高校生までは、冬に多少痛むことはあったが、動けなくなるほどではなかった。
経血にレバーのような塊がまざることがある。
北海道は夏でも寒いと感じ、半袖を着たことがない。
生理前などは特に症状がないが、時どき貧血でめまいがしたり、動悸がする時がある。
テスト前など、食事を作る余裕がなくて菓子パンなどでご飯を済ますと悪化するように感じる。
朝起きるのが苦手なので、1日2食で済ませる。
高校生の頃は、友達と遊びに出かけたりしていたが、北海道へ来てからは外出するのも面倒になってきた。
特に冬は外を歩くのが怖くて、大学と家を往復し、帰りについでにコンビニやスーパーでご飯を買ってくるくらいしか、外に出なくなった。
親に心配されて、「行っておいで」と言われなかったら、今日も家で寝ていたと思う…とのことである。
①五臓の精気の虚
食生活や環境の変化などにより、肝の中の血そのものがなくなると、肝の精気が虚してしまいます。
冷えの症状が強く陽気が少ない場合は、腎の精気も虚している可能性があります。
②病因
本州から北海道へ引っ越し、環境が急激に変わったことが大きいと考えます。
③病理の虚実
体質的に血は少なめだったところへ、不規則な食生活をすると、ますます血が作られなくなり足りなくなってきます。
④寒熱の発生
体をうるおし、暖かさと栄養を届ける血が不足しているために、末端に陽気が届かず、外界の寒さにも対応できなくなり冷えます。
~ここまでを、部分治療に入る前に脈を整えるという形で、本治法をして治療していきます~
⑤臓腑経絡に波及
血のうるおいだけが減った状態では乾燥して熱が発生しますが、さらに乾燥させる熱すらもなくなってしまうと、冷えは深いところまで波及します。
熱が足りていないと、下の方にまで巡っていかないので、基本的に冷えは足腰に集中します。
末端に血の栄養が巡らない上に冷えるため、しもやけは足のつま先に多く見られます。
体は冷えると巡らなくなるため、血が塊となったり、痛みを発生させるのです。
心には熱が残っているので(心に熱がなくなれば人間は死んでしまいます)、心だけが頑張って空回りし動悸がするのです。
体が冷えると胃腸は飲食物を消化吸収する力が落ちてしまいます。
食欲がわかなかったり、充分に吸収できないために下痢をしやすくなります。
⑥病証
血を巡らせる材料もエネルギーもない状態(肝虚寒証)
脾虚寒証もあるが、月経に関わることなので今回は肝虚寒証として考えます。
放っておくと腎虚になり、なかなか改善しにくくなります。
鍼灸に通うことで冷えを取り除き、体を温めましょう。
真冬の天気の悪い日、風の強い日は通院には向きません。
せっかく鍼灸治療で体を温めたのに、保温力の低い体では外へ出た時にいっきに冷える恐れがあります。
真冬は天気のよい、気温が比較的高い日を選んで通院しましょう。
本格的に体質改善を始めるのは、春から。
まず冬の間は、冷やさないことを優先させましょう。
寒い地域に子どもの頃から過ごしている人は、熱を蓄えておく力があるので寒さに強いのですが、逆に熱い時に熱を発散させる力が弱いために熱さに弱いです。
暑い地域に子どもの頃から過ごしている人は、熱を蓄えておく力が弱いので、大人になってから寒い地域に環境を変えると、なかなか対応できないということがあります。
そのことを頭に入れて、しっかり衣服で身を守ると同時に、日頃から冷えるものを口にしないということも大切です。
どういう風に衣服を身に付ければ暖かいか、ということを知らない人がけっこういらっしゃいます。
衣服の身に付け方も重要です。
普段の養生:冬の間は、汗をかくほども暖め過ぎない。汗をかくということは熱を放出しているため、こういう肝虚体質の方は汗がひいた後に急激に冷えます。
キムチ鍋のような辛い鍋よりは、もつ鍋やみそ煮込みうどんのようなちょっとこってり系の鍋の方が体は暖まります。
辛味は熱がありますが、発散させる味なので使い方に注意が必要です。
足が冷えていると、内臓が冷えます。足湯などをして、足を温めましょう。全身浴で長風呂をするよりもおすすめです。
早く寝て、過労は避けましょう。
単純に1パターンのみの方もいれば、いろいろ合わせ持っていたり、季節や年齢、生活習慣によって変化していくのが人間です。
自分の不調の原因はなんだろう…?と思われましたら、はりきゅうアロマのおがわ.をお申込みください。
予約状況で2時間ほど空いている時間を選び、予約フォームからご予約ください。
※メール、LINE@、お電話での健康相談は、致しかねますのでご遠慮ください。
ご紹介している例は実際の患者さまではなく、日々の臨床、勉強会で取り上げられた症例、参考文献をもとに書いた架空の人物です。(実際の症例報告は、同意を得た方のみ勉強会等で使わせていただいておりますが、個人情報となりますのでブログには上げておりません)
参考文献:
日本鍼灸医学(経絡治療・臨床編)経絡治療学会:編
日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)経絡治療学会:編
図解 よくわかる経絡治療講義 大上勝行:著 池田政一:校閲