治療院探しの参考にしやすいように、具体例を挙げてご紹介しております。
子どもを元気に、ママを笑顔にする鍼灸師おがわです。
首肩こりにはさまざまなパターンがあることを、ご紹介しました⇒『首肩こり』
では、一つ一つ詳しく見ていこうと思います。
出産後に首肩こりが悪化した
30歳女性(初見8月)
主訴:出産後に首肩こりが悪化し、抱っこや授乳がつらい。
肩こりから頭痛もするが授乳中のため薬も飲めず、鍼灸で何とかしたいと来院。
授乳中は大量の熱を産生しているので脈は浮いていて早く、全体的に広がって締まりのない脈になっている。中の方は細~い脈がピンピン跳ねているように感じる。
お腹はまだ戻りきっていないので、力なく弛緩しているが心窩部や季肋部に緊張がみられる。
コリは、後頭部の付け根から肩甲骨の上、僧帽筋の上部にそって強く感じる。
6月に1人目の子どもを出産したばかりで馴れない育児と寝不足でかなり疲れているようである。
もともと、学生の頃から肩こりはあったのだが、妊娠出産を機にさらに悪化したように感じる。
頭痛で子どもの面倒をみるのも辛い時があるのだが、そんな時に限ってなかなか寝てくれないことが多い。
以前は、首肩こりが悪化すると、耳鳴りやめまいを起こしていたが、最近はあまりない。
赤ちゃんのお世話で気を張っているので気付いていないだけかもしれない。
妊娠中や出産時に特にトラブルもなく、安産だったとのことである。
子ども連れで行けるので、せめて頭痛にならない程度に通えたらと考えている。
①五臓の精気の虚
精気の余りによって子どもができると考えるため、無事に妊娠・出産ができたということは、さほど精気が虚している体質ではなかったのでしょう。
ただ、妊娠・出産・授乳は血を大量に消耗します。学生の頃から肩こりはあったことを考えると、血を蔵する肝の精気が虚していると考えます。
②病因
出産、授乳。初めての育児。
③病理の虚実
出産や授乳をすると血を消耗します。
④寒熱の発生
血のうるおいがなくなるために、体の上部に熱が多くなります。
~ここまでを、部分治療に入る前に脈を整えるという形で、本治法をして治療していきます~
⑤臓腑経絡に波及
血のうるおいがなくなり、うるおいとセットになれずにいる気が体の上部に溜まって渋滞し、熱を発生させます。
すると、陽経の経絡上(肩や項背部)にある筋肉が栄養されず、乾いて引きつってきます。
余分な邪が侵入したのではなく、足りないことで発生する症状なので、痛みや症状はさほど強くはありません。
⑥病証
血が充分に体を栄養できず、筋にうるおいがなくなった状態です。(肝虚熱証)
筋が乾いて乾燥し、気が山火事のようになって風を巻きおこすと、めまいや耳鳴り、目の周りの筋肉の痙攣やこむらがえりなどを起こします。
筋が栄養されずに乾き、慢性的に引きつった状態を首肩こりと感じています。
通院の目安
肩こりは乳腺炎のきっかけにもなりやすくなります。子ども連れで出掛ける、もしくは誰かに預けて、となると外出も大変かと思いますが、疲れたと感じたら早めに休みに来ましょう。
ご主人と一緒に来て、交代で赤ちゃんを見ながら、交代で鍼灸を受ければ、お互いにリフレッシュすることもできます。
途中、授乳で施術を中断しても構わないのが、自宅で完全予約制で施術を行っている当院のメリットです。
辛くなる前にお越しください。
普段の養生:授乳の時にはクッションを使い、壁に寄りかかるなどして楽な姿勢をとりましょう。
多少、洗濯物が溜まっていても、部屋が汚れていても、大丈夫。それよりも、お母さんが倒れてしまうことの方が、大変なことになってしまいます。疲れが溜まっているときは、まずは横になって休みましょう。
目の使い過ぎ、夜更かしは厳禁です!
「昔と生活が違うから…」と言って、『おばあちゃんの知恵』的な産後の養生法をないがしろにする話も耳にしますが、先人の知恵というものをあなどってはいけません。産後の養生はしっかりと!
単純に1パターンのみの方もいれば、いろいろ合わせ持っていたり、季節や年齢、生活習慣によって変化していくのが人間です。
自分の不調の原因はなんだろう…?と思われましたら、はりきゅうアロマのおがわ.をお申込みください。
予約状況で2時間ほど空いている時間を選び、予約フォームからご予約ください。
※メール、LINE@、お電話での健康相談は、致しかねますのでご遠慮ください。
ご紹介している例は実際の患者さまではなく、日々の臨床、勉強会で取り上げられた症例、参考文献をもとに書いた架空の人物です。(実際の症例報告は、同意を得た方のみ勉強会等で使わせていただいておりますが、個人情報となりますのでブログには上げておりません)
参考文献:
日本鍼灸医学(経絡治療・臨床編)経絡治療学会:編
日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)経絡治療学会:編
図解 よくわかる経絡治療講義 大上勝行:著 池田政一:校閲