治療院探しの参考にしやすいように、具体例を挙げてご紹介しております。
子どもを元気に、ママを笑顔にする鍼灸師おがわです。
「冷え」にはさまざまなパターンがあることを、ご紹介しました⇒『冷え』
では、一つ一つ詳しく見ていこうと思います。
胃腸症状があると体を温める材料が不足するため冷える
33歳女性(初見10月)
主訴:冷えて下痢をする。
病院へ行っていろいろ検査もしたが、特に異常はなかったので、鍼灸で何とかならないものかと来院。
色白なのだが、黄色いセロファンをかけたような色をしている。
口が小さく、質問をしてもなかなか返事が返ってこない。
脈は細く弱く遅い。
お腹を触ると冷たく、臍から上はゲッソリしている。力がない。
手足も細く、反跳肘で関節が弱い。
朝ごはんは食べられないので、朝は白湯かほうじ茶だけで済ませる。
午前中は、寒くて動きたくない。
昼食後、体が温まるととても眠い。
時々、前頭部が締め付けられるように痛くなったり、のぼせて頬が熱くなる。
生理中から終り頃にかけて、お腹が痛くなる。
子どもの頃から胃腸が弱かったのだが、20代の頃はあまり気にならなかった。
30歳を過ぎてから、寒くなったりクーラーにあたると胃が痛くなったり、お腹を壊しやすくなった。
これからどんどん寒くなるので、今のうちに何とかしたい。
①五臓の精気の虚
脾の精気が虚しているために、胃の陽気も乏しい。
②病因
気温の低下
③病理の虚実
脾胃が弱く、飲食物から気血を作れないため、陽気が不足する。
④寒熱の発生
陽気が不足するために体全体が冷える。
~ここまでを、部分治療に入る前に脈を整えるという形で、本治法をして治療していきます~
⑤臓腑経絡に波及
全身を巡るほどもないが、かろうじてある陽明経の熱が、前頭部に停滞するために前頭部で頭痛を起こします。
また、胃の陽気が足りないために、飲んだ水分をさばくことができず、不要な水分(痰湿)が溜まるために重だるい痛みとなります。
乏しい陽気や溜まった痰湿は、春の陽気が盛んになり始めるころには、鼻や目に停滞して花粉症のような症状を起こすこともあります。(冬でも冷たいものを飲食して、春は花粉症に悩まされる人に多く見られる証です)
痰湿がたまると、肌の色が黄味かがった色になりますが、ツヤがなければ不調、ツヤがあれば大丈夫、とみます。
生理中から終りにかけての痛みは、気血不足によるものです。
⑥病証
脾胃の働きが弱いと、気血津液の材料が作れなくなるため、気虚、血虚、津液不足といった様々な症状が表れるため、すべての病証が当てはまるように感じてしまいますが、胃腸症状があれば大元である脾胃が弱いとみて良いでしょう。(脾虚寒証)
通院の目安
鍼灸でその人が持っている胃の力を助けることはできます。
急にたくさん食べられるようにはなりませんが、食べられる量の食事をおいしく胃もたれせずに食べられるようになるまでは、週に1度のペースで通いましょう。
もともと胃腸の弱い人に多いタイプですので、調子が良くなったら月に1度のメンテナンスに、寒くなってきたり、無理が続いた時は1~2週間おきに、というペースで通っていると、快適に生活できるようになります。
普段の養生:冷たいもの、生ものの飲食、うどんやパスタなどの小麦で作られている麺類、乳製品、油っこいもの、甘いものは控えましょう。どうしても食べたい時は、調子のいい時に少しだけ。
足首から先を冷やさないように、靴下の重ね履き、レッグウォーマーなどを活用しましょう。
単純に1パターンのみの方もいれば、いろいろ合わせ持っていたり、季節や年齢、生活習慣によって変化していくのが人間です。
自分の不調の原因はなんだろう…?と思われましたら、はりきゅうアロマのおがわ.をお申込みください。
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※メール、LINE@、お電話での健康相談は、致しかねますのでご遠慮ください。
ご紹介している例は実際の患者さまではなく、日々の臨床、勉強会で取り上げられた症例、参考文献をもとに書いた架空の人物です。(実際の症例報告は、同意を得た方のみ勉強会等で使わせていただいておりますが、個人情報となりますのでブログには上げておりません)
参考文献:
日本鍼灸医学(経絡治療・臨床編)経絡治療学会:編
日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)経絡治療学会:編
図解 よくわかる経絡治療講義 大上勝行:著 池田政一:校閲