治療院探しの参考にしやすいように、具体例を挙げてご紹介しております。
子どもを元気に、ママを笑顔にする鍼灸師おがわです。
「冷え」にはさまざまなパターンがあることを、ご紹介しました⇒『冷え』
では、一つ一つ詳しく見ていこうと思います。
血が滞って陽気が巡らないことによる冷え
38歳女性(初見12月)
主訴:不妊治療中で、病院で冷えを改善した方がよいといわれ来院。
8年前に1年間不妊治療をして1人目の子を帝王切開で出産。2人目が欲しいと思っているができず、昨年から再び不妊治療を始める。
色白だが、頬の辺りにシミが目立つ。
息切れがする。疲れやすい。
動くとすぐ汗をかき、顔や胸は熱いのだが、手足やお腹を触ると冷たい。
特に腰から下が冷えて、むくむ。ぷよぷよしていて、水太りタイプである。
足を触ってみると、冷たく湿っている。
内くるぶしから膝の内側まで、脛骨にそって触ると圧痛がある。
太腿の内側もゴリゴリしている。
脈は深い所でゆっくり脈打っている。流れになめらかさがない。
お腹は全体的に脂肪がおおく柔らかいのだが、力なく広がっている感じである。
鼠径部を押すと痛みがある。
お風呂でしっかり温まろうと思うとのぼせて気持ち悪くなるので、子どもと一緒にお風呂に入ることもできない。
痩せたほうがよいといわれるが、つい食べ過ぎてしまう。特に、子どもと一緒におやつを食べてしまうのがまずいと感じている。
いろいろと、自分なりに体質改善を試みてはいるが、なかなか思うようにはいかないようである。
月経前になるとイライラする。
月経がはじまると経血に塊が出る。
冷えると生理痛が悪化する。
最近、不妊治療にも鍼灸がよいという話を聞いて気にはなっていた。
自己流で体質改善を試みてもうまくいかないので鍼灸で体質改善ができて、妊娠できればいいな~と考えている。
①五臓の精気の虚
気をつかさどる肺の精気が虚した状態と考えます。
②病因
手術と不妊治療
③病理の虚実
手術や大怪我は血の滞り=瘀血の原因となります。
また不妊治療やピルの使用、生理痛なども瘀血の原因となることがあります。
④寒熱の発生
瘀血になると、詰まった先には気血が充分に流れなくなります。滞っている場所自体は熱を持っていることがありますが、その先は冷えます。
~ここまでを、部分治療に入る前に脈を整えるという形で、本治法をして治療していきます~
⑤臓腑経絡に波及
瘀血によって肺気の循環が悪いので体の表面に水が停滞します。これが冷えや水太りの原因となります。
肺気の循環が悪いと胸に熱が多くなり、動悸がしたり、胸や脇に汗をかきやすくなります。
瘀血は主に下腹部に多くできるため、心から拍出された陽気を含む血は腹部で滞り、下肢に陽気や血が巡らないために足腰が冷えます。
血は肝がつかさどるため、肝経の経絡上に渋滞がおき、太ももの内側や鼠径部にゴリゴリとした圧痛を感じる滞りができます。さらに、生理前になると脇がはったように苦しくなったり、下腹部や鼠径部に痛みを感じ、イライラしやすくなります。
瘀血ができるとシミができやすくなります。
⑥病証
血の滞りにより、体表面に気血が巡らず冷えた状態。(肺虚肝実瘀血証)
通院の目安
鍼灸は気の巡りをよくするのが得意なので、瘀血によって巡りの悪くなった気を巡らせてあげるとよいでしょう。
体が軽くなってくるのを感じるまでは、週に1度のペースで通院した方がよいですが、運動しても体が軽いと感じられるようになってきたら、生理前に来院するようにすると、快適に過ごせるようになります。
顔のシミは瘀血が改善すれば薄くなってくるかと思いますが、早く薄くしたい、これ以上濃くならないようにしたい、と思われるのでしたら顔はりをプラスしてもよいかもしれません。
妊娠された場合でも、当院は妊婦さんにも対応できます。
普段の養生:適度に動かして気の巡りをよくしましょう。大股で歩く、ストレッチやヨガをする、など、大きくゆっくり動く動作がおすすめです。
歌を歌ったり、好きなアーティストのコンサートやスポーツ観戦などに行って大声を出して発散するのもよいです。
お子さんと一緒に、テレビを見て大笑いするのもよいでしょう。
体を動かさずにじーっとして、ストレスをためているのが1番よくありません。
溜息も、つきたいだけつきましょう!
足を冷やすと、冷やされた血が下腹部に戻りさらに瘀血を悪化させます。足腰だけは冷やさないようにしましょう。
単純に1パターンのみの方もいれば、いろいろ合わせ持っていたり、季節や年齢、生活習慣によって変化していくのが人間です。
自分の不調の原因はなんだろう…?と思われましたら、はりきゅうアロマのおがわ.をお申込みください。
予約状況で2時間ほど空いている時間を選び、予約フォームからご予約ください。
※メール、LINE@、お電話での健康相談は、致しかねますのでご遠慮ください。
ご紹介している例は実際の患者さまではなく、日々の臨床、勉強会で取り上げられた症例、参考文献をもとに書いた架空の人物です。(実際の症例報告は、同意を得た方のみ勉強会等で使わせていただいておりますが、個人情報となりますのでブログには上げておりません)
参考文献:
日本鍼灸医学(経絡治療・臨床編)経絡治療学会:編
日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)経絡治療学会:編
図解 よくわかる経絡治療講義 大上勝行:著 池田政一:校閲