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冷え:血(けつ)の不足による冷え

治療院探しの参考にしやすいように、具体例を挙げてご紹介しております。

子どもを元気に、ママを笑顔にする鍼灸師おがわです。

 

「冷え」にはさまざまなパターンがあることを、ご紹介しました⇒『冷え

 

では、一つ一つ詳しく見ていこうと思います。

頑張り過ぎて血が不足したため冷えた

25歳女性(初見4月)

主訴:冷え、肩こり。

春になっても体が寒くて動きたくない。肩こりも辛い。

冬の間は仕方がないと思って、厚着して、カイロを貼って我慢して過ごしたが、春になって気温も上がってきたのにいつまでも寒くて動けないのは辛く、肩こりもひどいので、お灸で何とかならないものかと思い来院。

 

顔が青白く、髪にハリやツヤがない。

手足も細く筋張っていて、触ると非常に冷たい。

足は紫色になり、指にしもやけがある。

声に元気がなく、溜息が多い。

目が細長い。

 

脈は、弱く、圧すると何も通っていないチューブのようである。

脈拍も遅い。

 

お腹は痩せて上腹部が凹んで胸骨と胃の間の皮膚がピーンと張っている。

心窩部は暖かいが、下腹部や脇ばらは冷たい。

右下腹部に圧痛がある。

 

ちょうど1年前、睡眠時間を削ってガツガツ仕事をしていたら、ある日突然動悸やめまいがひどくなり外出できなくなり、そのまま仕事を辞めた。

病院ではうつ病と言われたが、違う気がし、病院から出される薬も体に合わず、昨年の秋には寒くて外出するのも嫌になり、結局通院もやめてしまった。

春になり、暖かくなったらアルバイトでも始めようかと思ったのに、体が寒くてしょうがないので、ネットでいろいろ検索して鍼灸なら体質改善になってよいのではないかと考えた。

①五臓の精気の虚

自分の体力以上に頑張り過ぎる人は、肝の精気を使い過ぎる人に多くみられます。

 

②病因

過労と睡眠不足。

 

③病理の虚実

過労や睡眠不足は肝が蔵している血を消耗させます。

血は陽気を含んでいるため、血が充分にあって体を巡っていれば陽気も巡るのですが、血がないために陽気も虚しています。

 

④寒熱の発生

血の陽気が虚しているために、陽気が四肢末端にまで届かず、冷えています。

 

~ここまでを、部分治療に入る前に脈を整えるという形で、本治法をして治療していきます~

 

⑤臓腑経絡に波及

胃から下が冷え、陽経の経絡(特に太陽経と少陽経)にも陽気が巡らなくなっているので、耳の周りや目の周りを巡る経絡に十分に陽気が巡らず、めまいなどを起こします。

太陽経は背中を幅広く流れる経絡のため、背中が続々するような冷えを感じます。

上焦に熱がなくなると死んでしまいます。わずかな陽気が胸に集まって、必要最小限のエネルギーで大切な部分だけでも働かせようとするため、上焦のわずかな熱や血の不足は、動悸や不整脈をおこし、咳を伴うことがあります。

胃腸の症状は伴わないため、食欲は普通にあります。

少陽経が冷えて痛むと(胆経三焦経のライン上の痛み)肩こり、首コリ、耳周りのコリを感じます。

 

⑥病証

陽気を含む血が充分に流れなくなったことにより、冷えてしまった状態。(肝虚寒証)

 

通院の目安

このタイプの方は、肝虚熱証で元気だったときがあるために、動けていた自分を思い出しては、治療効果に劇的な期待を持ちがちです。

焦りやすく落ち込みやすいので、足りないものが徐々に増えていくことをイメージしながら根気よく治療に専念しましょう。

体が修復されるのは、気血が増えてから。

乏しい気血の量でやっと体を動かしている場合が多いので、日頃の養生と合わせて徐々に徐々に体を回復させることが必要になります。

ちょっとでも良くなると完全に回復したと思って無理をしがちですが、肝虚証になる人は肝血を消耗するのが好きな頑張り屋さんが多いので、治療を止めてしまうとすぐ元に戻ってしまうことがあります。

自分の体を見つめ直す時間を作るためにも、このタイプの人は体の調子がよくなっても自分のメンテナンスをする日を作る習慣を付けた方がよいです。

調子がよくなるまでは週に1度(3カ月くらいを目標に)、体が動けるようになってきたら2週間おき、3週間おきのペースで通院しましょう。

 

普段の養生: 

冷やさない。早く寝る。

血の材料となる赤いもの(人参、ほうれん草、赤味のお肉、タコ、クコの実、イチゴ、ブドウ…など)黒いもの(貝類、海藻、黒ゴマ、黒豆…など)をよく噛んで食べる。

目の使い過ぎを避ける。

サウナなどで汗をかき過ぎたり、激しい筋トレをしない。


単純に1パターンのみの方もいれば、いろいろ合わせ持っていたり、季節や年齢、生活習慣によって変化していくのが人間です。

自分の不調の原因はなんだろう…?と思われましたら、はりきゅうアロマのおがわ.をお申込みください。

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※メール、LINE@、お電話での健康相談は、致しかねますのでご遠慮ください。


ご紹介している例は実際の患者さまではなく、日々の臨床、勉強会で取り上げられた症例、参考文献をもとに書いた架空の人物です。(実際の症例報告は、同意を得た方のみ勉強会等で使わせていただいておりますが、個人情報となりますのでブログには上げておりません)

 

参考文献:

日本鍼灸医学(経絡治療・臨床編)経絡治療学会:編

日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)経絡治療学会:編

図解 よくわかる経絡治療講義 大上勝行:著 池田政一:校閲

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