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むくみ

夏になり、気温と湿度が高くなってくると浮腫みを訴える方が増えてきます。

今回はこれからの季節に気になる「むくみ」について書いて行こうと思います。

全身性のむくみか?局所性のむくみか?

まずはじめに西洋医学的に全身性の浮腫みか、局所性の浮腫みかどうかをみます。

 

全身性浮腫

・心原性(心不全など心臓に問題がある場合)

・腎原性(腎不全やネフローゼ症候群など腎臓に問題がある場合)

・肝疾患(肝硬変など肝臓に問題がある場合)

・内分泌疾患(橋本病などホルモンの分泌に問題がある場合)

・妊娠中毒症

・低栄養(低アルブミン血症やビタミン欠乏症など)

・薬物性(非ステロイド性抗炎症薬やステロイド性抗炎症薬の使用)

・血管浮腫(局所の場合もある)

などがあげられます。

 

全身性浮腫の場合は、原則としては重力に従って下から上へ発症します。

立っているときは、足の甲からはじまり、脛骨前面、大腿、下腹部、胸部、顔面という順に進行します。

全身性浮腫の頻度としては心不全、腎不全、肝硬変などが多く、押しても凹みの痕がつかない浮腫みの場合は甲状腺機能低下症(橋本病)による浮腫み可能性が高く、首の静脈の怒脹がある場合は心不全の可能性が高いです。

 

全身性の浮腫みの可能性が低いと判断したら、局所性の浮腫みを疑います。

局所性浮腫

・深部の静脈血栓症やリンパ管浮腫

・腫瘍や動脈瘤などによる圧迫

・蜂窩織炎

・痛風

・偽痛風

などがあげられます。

 

浮腫みで悩まれている方は、まずはこれらの疾患がないか確認してみましょう。

そして、疾患がない、または慢性的で軽度で症状が落ち着いている場合、もしくはお医者さんの承諾があって治療と並行する場合、鍼灸をおすすめしております。

 

浮腫みとは?

では、とくに疾患のない方に向けて、東洋医学的に浮腫みのお話をしていこうと思います。

 

・浮腫みは、体の中に余分な水分(痰湿)が停滞した状態をいいます。

・体をうるおしている必要な水分(津液)は、全身をくまなく巡っているものなので、停滞している痰湿とは分けて考えます。

 

浮腫みの犯人は『湿邪(しつじゃ)』です。

この湿邪、皮下や血管外に溜まれば浮腫み、関節に溜まれば関節炎、呼吸器系に溜まれば鼻水や痰、胃腸に溜まれば胃もたれや軟便・下痢、毛穴に溜まれば湿疹・水疱…、他にめまい、頭痛、嘔吐、だるさなど、様々な不調の原因になります。

外界の湿度が上昇したり雨が降ることで湿邪は、弱った体に侵入してきますが、飲食物の不摂生からも湿邪は生まれます。 

 

体の水分調整を行っている臓は『脾』『肺』『腎』です。

脾は、胃腸を働かせて飲食物から気血津液を生成していますが、同時に余分な水分も消化吸収して小腸に送っています。

これがスムーズにいかずに、余分な水分が溜まり続けると、肌肉や関節が腫れてきます。

脾は体に必要な材料を作っているところです。そこが働かなくなると四肢が栄養されなくなります。

四肢の関節の浮腫み、手の指のこわばりなどは、脾虚が多いです。

 

肺は、急須の蓋に開いている空気穴のようなものとイメージしてください。

急須の空気穴が塞がった状態では、お茶が出ませんね。それと同じように肺の機能が悪くなると、余分な水分をお小水として排出することができなくなるのです。

肺は、津液をシャワーのように全身に巡らせる働きをしています。

風邪をひくと肺の機能がダウンするために水分が停滞し、鼻や気管で滞った水分が痰や鼻水となってあふれるのです。

肺は気をつかさどり、血と津液を巡らせ、毛穴を調節し、発汗させて体温を調節しています。

皮下に水分が溜まって浮腫み・水太り、鼻炎やアレルギーによる浮腫みは、肺虚が多いです。

 

腎は、余分な水分を集めて、お小水に変えて膀胱から出すという働きをしています。

ここは西洋医学で言うところの腎臓と同じ働きをしていますね。

腎は津液をつかさどる、といい、体の水分調節で重要な働きをしています。

腎は足腰に関わるため、下肢の浮腫みは腎虚が多いです。 

 

むくみ予防の養生

◯食生活

脾の五味は甘い…体を緩める働きがあります。摂り過ぎると関節や四肢に痰湿が溜まり、体が重だるくなります。適度に摂ると四肢を養い動くためのエネルギーとなります。

肺の五味は辛い…発散させる働きがあります。摂り過ぎると胃腸を痛めます。適度に摂ると水分を巡らせ発散させる働きがあります。

腎の五味は鹹(しおからい)…水分を調節する働きがあります。摂り過ぎると水分を溜め込んでしまいます。適度に摂るとうるおいを必要に応じて調節してくれます。

 

「浮腫む人ほど水を飲め!」という健康法を耳にしたことがあるのですが、基本的に浮腫む方は体の水はけが悪い状態なので、水分の摂り過ぎはNGです。

体に必要な水分は、お味噌汁や野菜、果物などの食べ物から摂ると、胃腸への負担が少ないです。

特に、お味噌汁はダシをきちんと取って葉もの野菜や海藻をたくさん入れると、ミネラルバランスが整い、汗をかいた時の水分補給にもおすすめです。

スイカやキュウリなどのウリ科の野菜は、余分な水分と熱を排出して体をうるおしてくれるので、熱い夏におすすめです。

 

普通に水をガブガブ飲んでしまうと、脾の働きが悪くなるため、上にあげた脾虚の症状が悪化します。

また、腎臓が処理できる水の量も限界があるため、処理できなかったものは溜まってきます。

腎臓の処理能力が落ちていれば落ちているほど、水分の取り方には注意が必要です。

大量に発汗しているわけでもないのに、スポーツドリンクや経口補水液を摂取していると高血圧の原因にもなります。

何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」。

やり過ぎは健康になるどころか害になります。

 

◯運動

筋肉の動きによって、下肢に停滞している水分は押し戻されます。

筋力がないと、その分、水分は下へ下へと落ちて行って溜まってしまいますので、ふくらはぎを鍛えましょう。

また、血圧が低めの方は、青竹踏みなどで足裏を刺激してあげることもおすすめです。

散歩をしたり、足首回しをして、よく筋肉を動かしましょう。

 

◯おすすめのツボ…お灸がおススメです。

三陰交(さんいんこう)…浮腫みを訴える方は、ここを押されると痛いことがあります。

中脘(ちゅうかん)…押して、チャポチャポ音がするようであれば、水分の摂り過ぎです。

 内くるぶしから膝に向かって、ふくらはぎの内側をドライヤーを当てながら撫でてあげることもおすすめです。

ここは、腎経の経絡と脾経の経絡を同時に巡らせる働きがあります。

クーラーで冷えた後にビールを飲んでしまった方は特に!!寝る間にやっておきましょう。

ただし、痛風の方、乾燥肌の方はやらないでください!


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