子どもを元気に、ママを笑顔にする鍼灸師おがわです。
手湿疹、手荒れにお悩みのお母さん、多いですね。
というわけで、10回に分けて対策をお伝えしています。
第3回目は、悪化の原因が『ストレス』の方。
動物(ヒト含む)が何かしらのストレスを受けた時に起こる生体反応は、
・副腎皮質の肥大
・胸腺やリンパ組織の萎縮
・胃十二指腸の潰瘍
ハンス・セリエの提唱したストレス学説というのは、適当なストレスが持続的に身体に加わると、上のような反応が起こると言われています。
参考文献『新訂 目でみるからだのメカニズム』 医学書院:発行
1.警告反応期(「ショック相」とそれに引き続く「反ショック相」とに区分される)とは
ショック相…ストレスに直面したすぐ後です。生体はなんの準備もできていません。
刺激に対する抵抗力は低下します。
・神経系は抑制
・体温、血圧低下
・毛細血管の透過性亢進
・筋緊張の低下
反ショック相…生体が積極的な防衛反応をするために、あらゆることに抵抗力が増します。
他の刺激にも強くなるこの時期を交絡(こうらく)抵抗期とも言います。
・交感神経が優位になりアドレナリンが活性化
・下垂体前葉が刺激されて副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌
・副腎皮質が肥大し、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)分泌
・体温、血圧上昇
・血糖値上昇
・筋緊張上昇
コルチゾールの働き
・免疫系の抑制→過剰な炎症を抑える
・胃酸やペプシンの分泌を促進し、粘液の分泌を抑制→胃・十二指腸潰瘍の原因
・脂肪やたんぱく質をブドウ糖に変えて、血糖値を上昇させる。
~予備知識メモ~~~~
幸せな時に出るホルモン→セロトニン、オキシトシン
ストレスの時に出るホルモン→コルチゾール
小児はりがかゆみを抑えるのに効く理由です。
また、何かの機会にこのお話はしましょうね。
~~~~~~~~~~~
2.抵抗期とは…初めに与えられたストレスにのみ抵抗力を発揮するようになります。
初めのストレス以外のストレスには弱くなっているので、交絡感作期ともいいます。
・副腎皮質は肥大したままで、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌は盛ん。
・刺激に順応し、身体は安定した状態
・初めに受けたストレス以外の刺激に対する抵抗力は落ちている。
3.疲憊期とは(疲弊期、疲労期、消耗期…文献によって微妙に言い方が違います)
疲憊期(ひはいき)が回復しないと個体の死になります。
ストレスが物凄く強烈なら、警告期から一気に死に至るでしょう。
ストレスが弱かったり一時的であったら、警告反応期か抵抗期までを経過して回復に向かうでしょう。
この疲憊期になると、生体はストレスに対して反応する能力を失ってしまいます。
ストレスがあまりにも強かった、長かった場合、この疲憊期を迎えます。
副腎皮質の大きさに変化は無いにもかかわらず、働きが低下します。
つまり、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌が低下します。
・過剰な炎症を抑えられない
・毛細血管の透過性が亢進し、むくむ。
これ、ステロイドを急にやめた時のリバウンドと同じような状況なのです。
炎症は、細菌やウイルス、異物と戦うために、ケガを治すために必要な体の反応です。
その暴走をコントロールするためにコルチゾールも必要なものです。
しかし、ストレスの多い現代人、そのコントロールがうまく働かなくなっている人が多いのです。
ストレスから解放された途端に肌の状態がよくなる人がいます。
この炎症とコルチゾールの生産のバランスがとれるようになったのかもしれませんね。
胃腸の状態=皮膚の状態
ストレスは胃腸の症状に現れます。
ハンス・セリエさんも、ストレスを受けると胃・十二指腸潰瘍になるって言ってますよね。
皮膚と胃腸は表裏関係。
胃腸の粘膜があれると、皮膚も荒れる。
そして症状は自分の弱いところに現れる。
と、何回も言っていますね。
~東洋医学的なお話~
ストレスは気の滞りを作ります
東洋医学的に見て、ストレスは気が滞った状態です。
気は滞りなく身体中をすみずみめぐり、昇って降りて、出て入ってこそ、人は健康でいられるのです。
それが滞ってしまうとさまざまな不調を生みます。
肩が凝ったり、眉間にシワが入ったり、怒りっぽくなったり、のどが詰まったように苦しくなったり…。
流れが滞れば、その先の末端へは流れなくなってしまいます。
流れないということは、末端では足りない状態が起きているということ。
・気は体を守っています
・気はもれないようにとどめています
・気は温めています
・気は必要な物を届けています
・気は必要な物を作り、不要なものを集めています
末端である手に気がめぐらないということは、
・バリア機能の低下
・毛細血管の透過性亢進
・末端の体温低下により皮膚がしもやけに似たような状態
・血液やうるおい成分が送られてこない
・新陳代謝の低下
が、起こるということ。
ストレスを感じた時、急にモワッと痒みがこみ上げてくることがありませんか?
そういうタイプの方は、ストレスからくる全身症状を改善してこそ、手湿疹は改善するのです。
ストレス解消を図りましょう
皮膚科のお医者さんと一緒にアトピー治療の研究をされていた鍼灸師の先生の症例報告を読ませていただいた時、
「テスト前になると症状が悪化する」
という一文があったのを覚えています。
鍼灸治療をすることによって、テスト前のアトピー悪化を防止していたようです。
鍼灸治療を受けながら、話を聞いてもらうだけで大丈夫、という方は、どうぞお越しください。
人間関係のストレスが1番の悪化要因になっている方は、カウセリングを受けるのもいいかもしれません。
体の不調が改善するとストレスが減ったり、ストレスと感じていたことがストレスではなくなることもありますね。
自分にあったストレス解消法をみつけましょう。